証券コード8783、abc株式会社(以下、abc)の2025年8月期決算について、初心者の方にも分かりやすく掘り下げていきます。
今回の決算、一言で言うと「本業は苦戦しているが、暗号資産(仮想通貨)の利益で最終黒字をもぎ取った」という非常にユニークな内容です。
決算短信という難しい資料を読み解くのが苦手な方でも、この記事を読めば「abcに何が起きているのか」「今後のWeb3戦略はどうなるのか」がサクッと分かります。ぜひ最後までお付き合いください。
目次
そもそも今回の決算は変則的?
まず最初に注意点があります。通常、企業の決算は1年(12ヶ月)単位で行われますが、今回のabcは決算期を変更しました。
そのため、2025年4月1日から2025年8月31日までの「たった5ヶ月間」の成績となっています。
前の年と比較するときに「数字が減っている!」と焦らないようにしましょう。期間が半分以下なので、単純比較はできないのです。
決算のハイライト:赤字から黒字への大逆転
それでは、一番気になる数字の部分を見ていきましょう。
売上と利益のバランスが衝撃的
5ヶ月間の成績は以下の通りです。
- 売上高:11億900万円
- 営業利益:マイナス9億2,200万円(大赤字)
- 経常利益:プラス7億8,100万円(黒字!)
- 最終利益:プラス5億2,600万円(黒字!)
ここが最大のポイントです。お店の運営など、本業の稼ぐ力を示す「営業利益」は9億円以上のマイナスです。しかし、会社全体としての最終的な利益は5億円以上のプラスになっています。
なぜこんな逆転現象が起きたのでしょうか。
黒字の正体は「暗号資産」
本業で損をしているのに利益が出た理由は営業外収益にあります。
abcは現在、Web3事業に猛烈に力を入れています。今回の決算では、保有していた暗号資産(トークン)の売却益や評価益が大きく寄与しました。
具体的には以下の要因が挙げられます。
- 暗号資産売却益:約16億3,000万円
- 売買目的有価証券運用益:約5億8,600万円
- 暗号資産受贈益:約2億9,400万円
これらのおかげで、本業の赤字をすべて埋め合わせ、さらに多くのお釣りがくるほどの利益を出したというわけです。まさに「投資会社」のような側面が色濃く出ています。
事業ごとの成績表:稼げているのはどこ?
abcはいろいろなビジネスを手掛けています。セグメント(事業)ごとの調子を見てみましょう。
1. 金融サービス事業(苦戦中)
- 売上高:2億200万円
- セグメント損失:8億9,000万円
企業の資金調達支援や貸付を行っていますが、ここが一番大きな赤字を出しています。
2. サイバーセキュリティ事業(優等生)
- 売上高:3億8,100万円
- セグメント利益:5,500万円
ここはしっかりと利益を出しています。企業のセキュリティ対策やコンサルティングが好調で、安定した収益源になりつつあります。
3. 空間プロデュース事業(クラブ運営など)
- 売上高:2億7,100万円
- セグメント損失:3,700万円
渋谷にある有名なナイトクラブ「CLUB CAMELOT」の運営などがここに含まれます。インバウンド(外国人観光客)効果で宿泊は好調ですが、メタバース化への投資なども行っており、トータルでは少し赤字です。
4. ゲーム事業(オンラインクレーン)
- 売上高:1億6,200万円
- セグメント損失:6,700万円
「クレマス」というオンラインクレーンゲームを運営していますが、広告宣伝費などがかさんでいるのか、赤字となっています。
5. ヘルスケア事業(育毛剤など)
- 売上高:9,100万円
- セグメント利益:1,800万円
育毛ローション「M-1シリーズ」の販売などです。規模は小さいですが、しっかりと黒字を確保しています。
注目のWeb3・メタバース戦略
abcの株価や将来性を語る上で外せないのが、このWeb3戦略です。会社としてもここに社運を賭けている雰囲気があります。
「Nyanmaru」などのミームコイン活用
決算資料の中に「NYAN(Nyanmaru GOLD Utility Token)」という文字がたくさん出てきます。これはいわゆるミームコイン(ジョークコインの一種ですが、コミュニティの力で価値がついたりするもの)への投資や活用です。
今回の黒字化も、このNYANトークンなどをうまく売却したことが大きく影響しています。
驚愕の目標:BTC 21,000枚保有?
決算後の重要事象として書かれているWeb3戦略がかなり強気です。
- BTC(ビットコイン)21,000枚の保有
- Web3支援先企業500社の確保
ビットコイン21,000枚というのは、現在のレートで計算するととんでもない金額になります。これを最重要KPI(目標)に掲げている点は、暗号資産投資家にとっても見逃せないポイントでしょう。
海外企業の買収で開発力強化
マレーシアでブロックチェーン開発を行っている「Metabit社」を子会社化する動きがあります。これにより、今まで外部に頼っていたシステム開発を自社でできるようになり、Web3事業のスピードアップを図る狙いです。
知っておくべきリスク情報
ここまで読むと「暗号資産で儲かってイケイケな会社」に見えるかもしれませんが、投資家として冷静に見るべきリスクも決算書には書かれています。
「継続企業の前提に関する注記」がついている
これは、分かりやすく言うと「会社のお金繰りが厳しくて、倒産しちゃうリスクがゼロじゃないですよ」という黄色信号です。
いくら暗号資産で利益が出たとはいえ、本業(営業利益)は赤字続きです。現金が足りなくならないように、株を発行して資金調達を繰り返しています。
この注記が消えるまでは、ハイリスク・ハイリターンな銘柄であることは間違いありません。
訴訟トラブル
子会社の株式会社CAMELOTが、取引先から「報酬が支払われていない」として訴えられています。請求額は約2,500万円。会社側は争う姿勢を見せていますが、こういったトラブルは企業の評判や株価に悪影響を及ぼす可能性があります。
2026年の見通しはどうなる?
会社が出している来期(2025年9月〜2026年8月)の予想は非常に強気です。
- 売上高:37億〜57億円
- 営業利益:8億9,000万〜28億9,000万円
- 経常利益:96億〜116億円
なんと、経常利益で100億円規模を目指すと発表しています。これもまた、Web3事業や暗号資産の運用益が大きく寄与する前提の数字でしょう。
まとめ
今回のabc株式会社(8783)の決算をまとめると以下のようになります。
- 5ヶ月決算:変則的な期間だった。
- 本業は赤字:金融やゲーム事業が足を引っ張っている。
- 暗号資産で大逆転:仮想通貨の売却益で最終黒字を達成。
- 超強気なWeb3戦略:ビットコイン大量保有やメタバース企業買収を掲げている。
- リスクは高め:本業の弱さと資金繰りの懸念(継続企業の疑義)は残る。
結論としてabcは安定した配当や成長を求める長期投資向けの銘柄というよりは、「暗号資産市場の盛り上がり」や「会社のWeb3戦略が当たるか」に賭ける、ドリーム枠の銘柄と言えるでしょう。
暗号資産の相場が良くなれば、abcの業績も株価も跳ね上がる可能性がありますが、逆もまた然りです。リスクを十分に理解した上で、少額からウォッチしてみるのが面白いかもしれません。
※投資は自己責任で行いましょう。このブログ記事は特定の銘柄の購入を推奨するものではありません。
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